五島を訪ねて1 |
旅行日 2006・5・3〜2006・5・6 |
五島へ山登りに行くの?五島と言う地名からはカンコロと魚しか浮かばない。わざわざ山登りに出掛けるような島だろうか、と疑問視する程度の知識しか持っていなかった。
GWで混雑するフェリーの乗船客の中には、山登りの格好をした者は見当たらない。寝袋を詰め込んで自分の頭より上に突き出たザックを担いでいる我々はひと際目立つ存在であった。 お目当ての新鮮な魚を食べようという望みも、GWには漁師も休み、スパーや小店には魚はないだろうと、幕営で自炊しようとする者にとっては悲観的な噂ばかりが伝わってきた。ところが予想は見事に外れる結果となった。 |
デッキに陣取った家族 |
福江行きの1便は混雑していた。出航30分前に買った切符と一緒に渡された乗船番号は348番。今日は500人の乗客はあるだろうと聞いている。 お盆、正月、GWは船会社のかき入れ時、普段は100人前後でゆったりしているとか。 順番に2等客室に乗り込むと隅の良い場所はすでに塞がっている。真ん中に座るしかない。一人の時でも部屋の真ん中に座ると落ちつかなくて隅に座ると落ち着くという、人間の心理がある。 写真の家族は、混雑した客室を避けデッキに陣とっている。周りに気を遣うこともない1等客室、特別室といったところだ。旅慣れした家族であろう。 |
福江港には、レンターカーの社員が黄色の旗を持って待っていた。予約したレンタカーの車庫まで送ってくれる人である。大きな荷物を担いでいるだけにありがたい。 軽乗用車2台に8人が分乗する。登山用具が多く荷物を膝の上に載せた状態で窮屈だ。24時間契約で1台6300円。 12時30分にスタート。まずスーパーへ食料の買出し。あらかじめメモした品物を買うのだか陳列場所探しに時間がかかった。 長崎県で一番長い直線道路を走り抜けると今日の第一目標である七岳(ななんたけ)の登山口公園に到着した。ここで弁当を食べ腹ごしらえをする。 空は五月晴れ、少し風もあり山登りには最高の日和である。七岳は431mで高い山ではないが九州百名山の一つになっている。途中険しい岩場が3箇所あったが45分で山頂に着いた。 |
険しい岩場を登る |
山頂から荒川温泉方向を望む |
深紅の花の周囲を純白の縁取りで鮮やかな「玉之浦椿」はここ七岳で発見されたという。 登山コースでは特別椿が多い山だとは感じなかった。 椿の花のほかには三つ葉つつじが咲いていた。 登山口の案内板には「オンツツジ」とあったがオンツツジは見つけることができなかった。 棘のある背の低いツゲ似た植物が小さな赤い実をつけていた。路のいたるところで見かけたが名前が分からないまま下山した。 写真の入江は玉之浦湾。 |
ひと汗かいた後は温泉へ。 まだ15時30分。今夜はテント泊まり、温泉に入る時間には少し早すぎるが仕方がない。 入浴料金は250円。湯温は60〜70度位の弱食塩泉で冷やして利用しているとか。 ここは海岸にあり東シナ海への出漁中の船員が利用するそうである。この日は2人の先客があり、静かだった。 |
荒川温泉 |
荒川温泉から見た七岳(ななんたけ) |
山の形は眺める方向によって千差万別である。 この七岳も福江側から眺めると一つの三角形をなしているが西の方角の荒川温泉から見上げるとこのような姿に変わる。 七つの岩峰が鋸の歯のように連なっていて、七岳という名前の由来が納得できる。 |
五島観光の目玉は、何と言ってもここ高浜海岸であろう。五島で一番美しい所だ。 魚監観音の高台から眺めたビーチは、カプリ島の青い洞窟にも勝るとも劣らない澄み切った青さであった。 太陽が少し西に傾きかけた16時30分。光の屈折が創り出す芸術である。タイミングよく行き合わせたものだ。 |
高浜ビーチ |
三井楽・柏崎に建っている碑。 「辞本涯」とは日本の最果てを去るという意味で、遣唐使船で唐に渡った空海の言葉に由来するものだという。唐につながる東シナ海の航路は、多くの先人が命を落としていった大海原。この碑は二度と故国の土を踏めなかった人への鎮魂の碑であると・・・。 ここにテントを張り泊まる予定であった。しかし、北風が強くとても無理のようだ。あきらめ長崎鼻、浜窄と適地を探し回った。途中、毎年8月下旬に開催される「日本で最後に沈む夕日を背に走ろう」をキャッチフレーズに行われる夕やけマラソンコースを通った。 |
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三井楽半島の西海岸線を南下したが高浜ビーチまで戻ってしまった。ここは山に遮られ北風の影響はなく静かだった。水、トイレの設備がありキャンプには最適である。ここにたどり着いたときすでに18時になっていた。日が長くなったとはいえ日没まで残された時間は少ない。手分けして夕食準備にかかった。今夜のメニューはカレー。ビーチの変わり行く夕映えを眺めながらジャガイモ、にんじんの皮むきにとりかかった。 夕陽が完全に沈んだ19時過ぎ料理は出来上がった。まだ空は明るい。近くの山からはウグイスの鳴き声が聞こえてくる。潮は引き砂浜が遠くまで続いている。そのせいか潮騒は聞こえてこない。静かな日暮れである。 遠くに漁火が一つ二つと増え、空には星が瞬き夜は深まっていった。アルコールの回った胃袋にカレーを詰め込み跡形付けを終わったのは21時30分であった。 今朝の早起きで疲れているのだろうかた、「もう寝ようや」と言い出し、いつものキャンプより早めに寝袋に納まった。 |
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こうして初日の五島めぐりは終わった。明日はどんな出会いが待っているだろうか。 |