涼を求めて尾鈴山へ |
場 所 宮崎県都農町 |
日 程 |
尾鈴山登山と尾鈴の滝めぐりは事前に計画していたわけではない。 台風の進路を何日も前から眺め、逸れることを願っていた。だが、とうとう出発2日前になって中止を決断するはめになった。 急に空白になった4日間を、体調を整えスタートラインに立っていた時だけに、予定もなく過ごすのは気分的に耐えがたかった。 一泊二日でどこかの山へ行こうと話が持ち上がった。九州の1000m級の山はどこも暑い。 滝のある山はいくらかでも涼しかろう、ということで尾鈴山の瀑布群に白羽の矢が立った。 |
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諫早を5時に出発。今夜の宿泊地、九重頭(くえんとう)キャンプ場に着いたのは11時。 長崎自動車道、九州自動車道、宮崎自動車道、東九州自動車道と乗り継ぎ、6時間の長旅である。貸切のマイクロバスで運転するわけではないが、6時間は座席に座っているだけでも疲れる。 諫早を出るときから曇空で怪しい雰囲気であった。キャンプ場に着いて装備を身に付け始めると雨が降り出した。参加者は12名、この中に縁起の悪い「雨男」「あめおんな」がいるな、と愚痴をこぼしながら雨具を着込んだ。 天気続きで時間給水の心配をする町もあるというのに、われわれの予定を狙って台風や雨が降るとは、運が悪いだけではなさそうだ、何者かに呪われているのかもしれない、と非科学的なことを考えたりする。 |
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いよいよ出発 雨対策も完了、いよいよスタートとなったとき、雲が切れ、日差しの強い太陽が照りつけた。装備をおろし、雨具を取り外した。人騒がせな通り雨である。 |
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登り始めて30分で正午。 きょう明日の昼食は、昨日買い求めたもの。夏場は選ぶのに苦労する。ご飯類は日もちが悪いし、結局このメニューになった。 パンと草餅は賞味期限を確かめて買った。りんごとトマトは保冷材で包み、冷やしてある。持ち歩くのは重いが冷たくて水分が多く最高である。 楽しては美味しいものは食べられない仕組みになっている。 |
イワタバコの花 葉っぱがタバコの葉に似ていることからこの名前がついたらしい。 花は直径1センチぐらいの小型。 タイミングよく木漏れ日が差し込み花が映えていた。 この花を見たのは初めてであった。 |
紅葉の滝 きょうの目的地は白滝。白滝までには九個の滝がある。 まず最初は、この紅葉の滝。落差34m。雨の少なかったこの時期でこの水量だから、雨の多いときには物凄い轟音で響きわたるに違いない。 |
このコースはト廃止になったロッコ道を利用した自然道で道幅も広く、緩やかな勾配で歩きやすい。すべてトロッコ道を伝って登っても良いが歩く距離が長くなり時間がかかる。所々に直登の踏み跡がありこれを使うと近道になる。そのぶん急な坂できつい。 岩を砕いて作ったトンネルもあった。枕木や軌条はなかったが雰囲気が屋久島のトロッコ道によく似ていた。 |
さぎりの滝 上右写真のトンネル入り口から左下を見下ろす位置に滝壷はある。滝壷まで降りるのは止め、この位置から眺めた。 名前から、ここは霧が多く発生するところなのかもしれないが、きょうはすっきりとしている。 |
沢で滑って転んだのではありません。先頭を行っていたMさんがザックをおろし、浅い水溜りにそのまま寝転びました。彼曰く、どうせ全身が汗で濡れているからこれ以上は濡れないから大丈夫。冷たい、気持ちよい、すっきりしたと一人で騒いでいました。 しかし、一時間後下山のときになって靴の中に入った水で足がふやけ靴ずれができたようです。 |
白 滝 登り始めてからおおよそ3時間でやっと到着。トロッコ道を曲がりくねって登ったので時間がかかった。 尾鈴山山系の瀑布群では落差75mで最高である。 水量は少ないが天から水が落ちてくる感じである。 |
白滝の瀑布 ここに建っている案内板によると、『1822年、金剛院貞佑という修験者が、ここで修行した。 嵐に吹き飛ばされた1貫目(3.75kg)もある石が身に付けていたホラ貝に当たって難を逃れた。』 滝壷までは怖くて降りなかったがたぶん滝壷から上を見上げると今にも岩石が落ちてくる恐怖に襲われたに違いない。 |
キャンプの夕食は豚汁、すき焼きなど身体が温まるものを作ることが多い。しかし、今回は冷たくてあっさりしたもので、野菜サラダに野菜の漬物がメーンになった。 飲み物は冷たいビール。キャンプ場まで車を横付けできるので大きなクーラーにビールをたくさん詰め込んできた。沢の水の音とヒグラシの鳴き声を聞きながらの会食は最高である。 |
管理人さんの奥さんが大きな稲荷すしを差し入れしてくれた。 ワラビ、ぜんまい、ニンジン、かまぼこの炊き込み御飯を厚揚げにつめたもので、街ではめったに食べられない山菜稲荷である。 管理人さんは、われわれがあす尾鈴山に登ると聞いて、登山口までの林道は道が悪いからマイクロバスでは登れるかどうか心配だ。自分の軽自動車で今から下調べに行こうとマイクロバスの運転手を脇に乗せ出かけてくれた。 1時間して戻ってきた。マイクロバスの運転手は、用心して登れば何とかいけるだろうと判断した。 キャンプ場から尾鈴山登山口まで1時間30分を予定していたが車で20分もあれば登山口に着く。 明日の起床時間を5時、出発を6時に変更して今夜はゆっくり休むことになった。 |
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