雪の白川郷

平成17年2月17日、世界文化遺産、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている白川郷の合掌造りを見に出かけた。

三角形の茅葺屋根に積雪した風景を想像して出かけたが屋根の雪は落ち、平地に積み重なっていた。

観光パンフレットから全戸が茅葺屋根の集落という先入観を持って現地に降りた。しかし、そこは近代的に改築された屋根と茅葺の屋根が混在している集落であった。近代化された屋根の方が半数以上ではなかろうか。

バスガイドさんの話によると、茅葺屋根の寿命は50から60年だそうである。葺き替え費用もさる事ながら、集落の結いで屋根葺き替えをしていたのが茅葺屋根の減少で結いの人手が少なくなり維持するのが難しい時代になってきたという。

また生活様式の変化で50〜60年であった葦葺屋根の寿命が半分ぐらいに縮まったそうである。茅葺屋根は囲炉裏で薪を燃やし、部屋から天井まで煙を充満させることによって屋根裏に住む虫の駆除の役目をしていたが、部屋の暖房を石油ストーブなどに変えた現代生活は、虫の被害により葺き替えのサイクルが短くなっているという。

合掌造りの家は居住しながら、民宿、おみやげ屋として生計を立てているように見うけられたが、次の葺き替えまでにその費用が捻出できるのだろうかと他人事ながら気がかりになった。

諸々の指定を受けると改装改築に規制の枠がはめられ、そこで暮らす生活者には不便で苦労もあると聞いている。伝統的家屋を守りながらそこで生活を営む難しさは、当事者にしかわからない苦労が多いことだろう。

観光パンフレットの華やかなイメージとは異なった、生活者の苦労が伝わってくる合掌造りの郷であった。


白川郷への道のりは遠かった。
尾張一ノ宮から東海北陸自動車道を北上すること98km、荘川(しょうかわ)ICを降りて、国道とは名ばかりの狭くて曲がりくねった国道158号線を40分バスに揺られた。

6集落300戸が湖底に沈み、昭和36年完成した御母衣ダムの淵をもつれた糸を手繰るようにして鳩ヶ谷ダムへ下った。降りついたところが白川郷である。

写真は、御母衣ダム。中央は御前岳(1816m)。白川郷は御前岳の左裾野になる。(バスの中から写す)

次へ