虚空蔵山
(608m)

行      程

登山日  2003・1・25

山 域  佐賀・長崎県境(川棚、彼杵、嬉野)

新年会  虚空蔵山登山後、川棚・大崎半島「国民宿舎・くじゃく荘」に一泊




九州のマッターホルンと呼ばれている虚空蔵山


今年のハイキングクラブの新年会は1月の下旬になってしまった。新年の気分はとっくに去り、気の抜けたビールの感じがしないでもないが、それでも泊りがけの宴会は楽しいものである。

山登りの端くれとして、形だけでも山に登り、ひと汗かいてから酒宴を楽しもうと思う心がけは見上げたものである。

登る山は佐賀・長崎の県境にある虚空蔵山(608m)、宿泊は虚空蔵山から40分足らずで移動できる川棚町大崎半島の「国民宿舎・くじゃく荘」。

AM10時、JR大村駅で下車。「くじゃく荘」の送迎バスに乗り換え虚空蔵山の木場登山口までおおよそ40分かかった。



木場登山口

一泊の行事となると、なかなか参加人数が少ない。会員60名中14名では少し淋しいがそれぞれに所用があるということは、閑を持て余していない証拠であり喜ばなければならない。今日参加した者は閑を持て余している連中ということか。

バスを降り準備体操をする。陽が差してはいるが吹き抜ける風は冷たい。登りはじめたのは11時半になっていた。ゆっくりペースで1時間もあれば山頂に着く行程だから昼飯にはちょうどよい時間になる。

これから登る虚空蔵山は、標高はそれほど高くはないが周りに高い山がないので目立つ山である。山の姿は地元川棚町から見上げるのが一番美しい。ひときわ険しさを見せる山頂部は九州のマッターホルンと呼ばれ九州各地から登山愛好者もやってくる。きょうも山頂で出会った父息子に尋ねたら福岡県柳川から来たということだった。

登り始めからきつい坂が続き、息ははずむが木立に陽は遮られ、冷え切った山では手先が冷たい。10分ほど登ったところで二股に分かれる。左は「家族連れコース」、右は「冒険コース」の道標が建っている。



「家族連れコース」と「冒険コース」
の分岐

右折して「冒険コース」へ向う。大きな岩石の折り重なった隙間を通り、はしご場を登り、岩場の鎖が何箇所もあるこの路は距離は短いが変化の激しいコースである。9合目付近まで来てやっと体が汗ばんできた。土の路は霜柱が立ち、踏むとサクサクと音がする。その音でリズムをとり足取りも軽く疲れは感じない。



ハシゴ場


クサリ場

自然林の潅木のなかを歩き続け、山頂に辿り着き初めて視界は開ける。

山頂は、陽が照り付け温かい。先に登っていた人たちが弁当を開いていた。

コンロでお湯を沸かし温かな飲み物を拵えている組。遠方を眺めながら握り飯と頬張っている人。三脚を据え二人並んでポーズを取る夫婦。

一度に14人が押し寄せ、狭い山頂は窮屈になった。昼食前に標識を囲んで集合写真を撮ろうとしていたら夫婦で来ていた旦那さんがシャッターを押してくれた。



山頂の祠

食後、360度の眺めを楽しんだ。北は佐賀の天山、南は大村湾に長崎空港。西は黒髪山・国見山。東方向には多良山系の経ヶ岳。いずれも一度は登っている山だけに懐かしい。

東方向のすぐ下に聳える肥前小冨士とも藤津冨士とも呼ばれている唐泉山(410m)はとりわけ懐かしかった。

それは生まれ育った故郷の山であり、毎日眺めて暮らした山であるからだ。



わが故郷の山・唐泉山(中央の三角形)

迎えのバスは岩屋登山口に14時の約束である。その時間に合わせ13時10分下山した。



下山した岩屋登山口

心地よい疲れは、バスに揺られている間に眠気を誘った。うとうととしながら今夜の宴会場に着いたのは15時前であった。



新年会会場・国民宿舎「くじゃく荘

登山随想