忙中閑あり

年末になって冬らしい寒さがやってきた。

いま午前十時、家内は買い物に出かけ私は一人留守番をしている。

人並みに年末のあわただしさに巻きこまれ、何となく落ち着かない日を送っているが今のんびりとした気分だ。

二階の窓から外を眺めると雪こそ降っていないがどんよりとした雲り空から今にも雪が降り出しそうな気配である。

ストーブの上ではやかんが湯気を出し、部屋は暖かい。

 目線の位置に、ついこの間造園屋さんが剪定したばかりのクロガネモチが時折吹く風にゆれている。

このごろは、庭にヒヨドリとメジロがたびたび回遊してくるようになった。

ヒヨドリはカン高い声で鳴き、山茶花の蜜を吸っているメジロを追い払う。

ヒヨドリはクロガネモチにとまり赤い実をついばむ。途中から数えてみた。11個食べた。途中で数え始めたから1516個は食べたに違いない。

食べるのを一時中断、糞を出しまた食べ始めた。子供のころ食事中にトイレに立ち、戻ってきてまた食べはじめると祖父からたしなめられた記憶が浮かんできた。

鳥たちは生理現象を自然に処理し周りに気を使うこともないから羨ましい。

 ヒヨドリは、ピッピーッとけたたましく鳴いて飛び去った。
              (H14・12・26)

随筆へもどる