食事後も外はまだ明るかった。小屋から出て沈む夕日を眺める。
夕映えの雲海はすばらしい。どっかりと足を投げ出して座り込み、陽が沈むまで眺めていた。
山小屋は、ある意味では原始的な暮らしである。陽が昇れば起き、陽が沈めば寝る。
電灯があるわけではなし、ヘットランプが頼りになる。しかし、周りが早々と床に着けばランプを点けて起きているわけにはいかない。8時には全員寝袋に収まった。
与えられたスペースは畳一枚の広さ。これでも余裕のある方で混雑するときには寝返りも出来ない状態の時もあるから。
汗臭う身体擦り寄せ山の小屋
鼾(いびき)無礼講、早いが勝である。神経質な者は損をする。
岳人の鼾は高し雑魚寝かな
目が覚めた。時計を見るとまだ11時。朝から7時間の登り尽くめでぐっすり眠った。
身体が汗かいている。夜の冷え込みを予想して着込んでいたからだろう。
寝袋から抜け小屋の外に出る。外気も暖かで10℃前後ではなかろうか。空には半月が鈍く光っていた。見あげると北斗七星が近くに輝いている。
夏山の寝袋抜けて北斗星
30分ほど外気に当たり身体が冷えてから小屋に戻った。
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