石楠花を求めて舞岳へ

山行日 2006・4・29(土) 晴

行程
JR西諫早駅前8:10〜9:10黒木八丁谷駐車場9:25〜11:15舞岳11:20〜12:15経ヶ岳13:05〜13:35つげ尾13:45〜15:20八丁谷駐車場15:45〜16:30帰宅

記録をめくってみると、1年3ヶ月ぶりの経ヶ岳登山であった。この間、昨年の暮れ、郡岳から経ヶ岳まで縦走を試みたが、つげ尾まで来て、冬の日の早い日暮れを心配し、断念したことはがある。

今回の山歩きは、いつものコースとは異なり、八丁谷駐車場から舞岳経由で経ヶ岳を目指した。目的は舞岳ルートの石楠花を観賞することであった。オレンジハイキングクラブではこのコースを登るのは初めてだという。

 25年の歴史を持つクラブが初めてだというのは意外な感じである。個人的には利用した人もいるがクラブとして計画したことはなかったらしい。

五月の大型連休の初日、多良岳山系の大村方面からの登山口となっている黒木は何処も駐車場はほぼ満車状態だった。近年、ウォーキングブームと言われているが近場の山登りも人気があるようだ。

いずこの山も山頂を目指すには、難しいルート、易しいルートといくつかある。今日登るコースは経ヶ岳で一番急登が続く難しいコースだと聞いている。

 急登が続く難コースだと聞くと年甲斐もなく挑戦したくなる。


体力も省みず何時までも若い気分でいるのは良いことかどうか。時間をかけゆっくりと登れば、何とか付いていけるだろうと思って参加したが舞岳に着くまでには、岩場が3、4箇所あった。やはり緊張する。雨の日などは危ない。

急峻な崖にも石楠花、三つ葉つつじが咲いている。
樹高も高く、年輪を重ねた大木が多い。

舞岳の山頂から東南方向には、中岳(1000m)(手前)と五家原岳(1050m)(後方)が重なって見える。
舞岳は867mで、前方の山が130m高い。

今日は春霞のためはっきりしない。しかし、かんかんに照り付けるよりもこの程度の陽射しが登山には適している。
舞岳山頂までは、スタートしてからおおよそ1時間50分かかった。スタート地点が標高350mだから標高差500mを1時間50分だと、このクラブのペーストしては上出来である。

この標識は、最近建てられたもので、屋根までつけ丁寧に作られている。
背後の山が、今日の目的地・経ヶ岳である。予定のコースタイムでは、ここから1時間でたどり着くことになっているが果たして予定通りにたどりつけるか?
舞岳山頂の石楠花。

やっとほころびかけた蕾。背景の山は経ヶ岳と多良岳の中間の山々。
経ヶ岳山頂には、舞岳から1時間で着いた。
途中はほとんど直登の急勾配で息は弾んだがコースはよく整備されて危険な岩場もなく安心して歩いた。

しかし、山頂に着くまで自然林の中で視界は悪く、ただ下を向いて一歩一歩足を上げて登る我慢の1時間であった。

坂の途中でちょうど正午。腹の虫がグウグウと鳴きだし水を飲んで抑えた。
経ヶ岳山頂の賑わい。
すでに20人近くのハイカーが到着、それに我々15名が押しかけ混雑状態になった。

山頂から一旦下に降りて木陰に入って昼食にする。
昼食時間は40分。13時に「つげ尾」に向かって下山するとリーダーの声。
舞岳を上から眺める。

ここ経ヶ岳の山頂から、登ってきた舞岳を見下ろすと樹木に覆われ優しい表情をしている。
樹木という衣の下には荒々しい肌をもった怖い山であるのに・・・。
その怖さを和らげてくれるのが石楠花であろう。しかし、残念ながら開花には少し早かった。
1075mの経ヶ岳と舞岳の867mの標高差差は約110mであるが近くに感じる。
山は下から見上げると高く感じ、上から見下ろすと短く見える。人間の目測は案外当てにならないものだ。
三つ葉つつじがあちこちにあったが、花の時期はすでに過ぎ、遅咲きのものが時々目を楽しませてくれた。
どれも年月を重ねた古木で風格が伝わってくる。
高さは人丈4、5倍もある大物で見上げるのに首が痛いほどであった。
出発して30分ごろに見かけた石楠花。

この調子だとグッド・タイミングと喜んだが高度を上げるに従い蕾は固く閉じていた。

帰りのコースは、つげ尾に降りて大払谷を通った。山頂からつげ尾まで急峻で足場が悪く苦労した前回までの思い出が焼きついている。命懸けの緊張する悪路だった。

それが何と階段、ロープで登りやすく整備されていた。ところどころには壊れたときの補修用に、木材針金などが準備してある。

今日のリーダーを勤めたSさんの話によると、Sさんの知人たちが長い期間かけ整備されたと言う。また経ヶ岳、舞岳の山頂標識も、この方たちが20キロもある標柱を担ぎ上げ新設されたそうである。山頂では登ってくるハイカーに、四季折々の花のコースを纏めたマップを配っている人もいた。

このようにハイカーの安全のため、また楽しんでもらうために、陰で働いている人たちの多いことに驚き、と同時に感謝した。私はただ山を楽しむだけだが、この方たちは山を愛する本当のハイカーである。頭が下がる。

つげ尾まで下りたところで、緊張を解くため一息入れた。
 再び気を持ち直し、大払のガレ場を降りた。このころから疲れを感じるようになった。着地がふらつきバランスを崩すことが多くなった。とうとう浮石に乗って転んでしました。事なきを得たが、この時やはり「もう歳か!」と淋しい思いをした。しかし、このメンバーには80歳を超えた人、私より一つ上の人もいる。

この方たちはスクワットで日常訓練していると聞いている。その差がこういう場面で出てくる。先輩たちの体力年齢の若さに敬服し、わがずぼらな心の弱さと体力の衰えを内心恥じながらゴールへ向かった。

石楠花の見ごろには少し早かったが、山を愛する裏方さんに感謝し、その一方では「ゆっくり登れば何とかなるだろう」と安易に考えたことを反省した1日であった。

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