市房山の雲海 |
山行日 2005・4・30(2日目) 行 程 |
さわやかな目覚め。昨夜のキャンプ場は賑わっていて、隣にいくつもテントがあった。隣迷惑を思うと、遅くまで騒ぐわけにはいかなかった。リーダーは好きな歌が唄えないのが不服のようだったが9時半に寝袋へもぐり込んだ。 やはり、きょう明日の「下り坂の天気」が気がかりで早々に朝食を終わり、次の目的地、市房山へと急いだ。時間にして4時間50時分の行程である。 きのう来た道を、槇峰、高千穂、馬見原まで戻り、椎原経由で飯干峠を越え矢立へ出る。馬見原から1時間40分の九十九曲り峠は長かった。 湯前の小さな商店で、今夜の食料を調達して、市房神社登山口駐車場へと向かう。湯前から見上げる市房山はどっしりとして風格がある。頂上は雨雲に覆われ異様な雰囲気だ。キャンプ場を通り過ぎ、市房山神社登山口駐車場へ。駐車場はスペースが狭いと聞いている。途中の路側に数珠つなぎに停めてある。この状況では駐車場は満杯のようだ。 |
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運良く空いていた登山口駐車場へ車を停め、腹こしらえのあと登山準備にかかる。 |
歩き出して数分もしないうちに巨杉に出会う。 |
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駄目でもともとの心境で終点まで登ったら幸運にも2台分のスペースが空いていた。何となく今回の山行は運が付いているようだ。この調子できょう一日降らないで欲しいと願った。 駐車場が確保でき一安心。時計を見ると11時45分。まず急いで腹こしらえをする。食事の後、ザックカバー、スパッツ、雨衣を取り出し、いつでも着られるよう雨対策をする。雨を覚悟してのスタートになった。 神社で安全祈願の拍手を打って、いよいよ急坂に挑戦。丸太を横にした階段と木の根が張りめぐらした道は険しい。登りは何とかなりそうだが、帰りの雨に濡れた状況を想像すると無事に戻れるだろうかと帰りのことばかりが心配だ。 |
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今回のパーティーの中には農林産物の害虫駆除の専門家もいる。その方の話では、黄色のクサビみたいなものは駆除薬だということであった。 |
登山道は、ご覧のとおり杉の根っこが張りめぐらし、それを踏んで登った。巨杉には気の毒である。 屋久島のように高床の木道を作り、根を痛めないように保護していただければ気兼ねなく歩けるのだが。 |
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市房神社。ここまで登ってくるのにスタートして20分かかった。木の根っこがないところは石の階段があり楽な路ではなかった。 |
4合目地点の標識あり。 神社横の水の補給所。倒れた枯木の向こう側に水場がある。 |
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下山してくる人の話では、6合目あたりのアケボノツツジ、黄色のヒカゲツツジ、三つ葉ツツジがいま見頃だという。ヒカゲツツジの黄色、アケボノツツジの淡いピンク、薄紅の三つ葉ツツジは疲れを癒してくれ、雨の恐怖も忘れるひと時であった。6号目を過ぎると、あとは階段と木の根っこの道との格闘である。 |
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ときどき雨粒が落ちてきて、いよいよ雨かと観念せる状態が2度ほどあった。 そのたびに、もうこの年齢では、またとこの山に登る機会はないだろうと思うと、どうしてもきょう山頂まで極めておきたいと思う気持ちが強くなってくる。 周りの景色を眺める余裕はなく、ただピークをめざす気持ちだけである。 念願の山頂に立ったのは14時55分。2時間35分の奮闘であった。 視界はガスで何も見えなかったが心は満足感で晴れやかである。一度はこの足で制覇しておきたいと思いつづけていた市房山であったから・・・。 |
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念願の市房山山頂。 何回か雨がぱらつき、その度に観念したがどうにか降り込まれないうちに登ってきた。 この難儀なコースは、この年齢では二度と挑戦できそうにない。そう思いながら三角点を手でなでた。 |
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休憩後、下山を始め、何気なく目線を上げるとガスが晴れ、下界は雲海の世界に変わっている。 雨に濡れないよう仕舞い込んでいたカメラをザックから慌てて取り出し、シャッターを押しまくった。この見事な展望を見たとき「山頂まで頑張ってきた甲斐があった。ここでも運が付いているではないか。もうこれで満足」と思った。そのあと雲は高くなり薄日が射すようになった。天気の心配がなくなると、気持ちが緩んだのか疲れで足が動かなくなる。先頭に何回も待ってもらいながら無事に神社まで戻ってきた。帽子を取り、無事に戻れたお礼のお参りをした。 これで今回の計画は、90%は終わった。 今夜は確実に雨になる。テント泊まりを取りやめ、キャンプ場のバンガローに変更する。まず二日間の汗を流しに元湯温泉へ。お湯に浸かりながら、二日間の運のよさと目的を達成できた充実感を噛締める。この二日間の苦労はすべて石鹸の泡と一緒に流し去った。 夜はSさんの新メニューのポトフ料理で冷たいビールと焼酎の宴会が始まった。 |