忘年登山 |
忘年登山とおかしな名前が付いているが登山は付け足しで、目的は忘年会である。 ほとんどが年配女性で占める「ひまわり山行部」は、いつまでたっても連れ合いの世話から開放されずに、泊りがけの忘年会を計画すると参加者が極端に少なくなってしまう。 そこで考えだしたのが、往復1時間半ぐらいの山に登り、下山して温泉に浸かり昼食会をする。そのあと夕食の準備が出来る夕方までには家に帰り着くという駆け足忘年会である。 しかし、駆け足とはいっても結構楽しめる。特に女性にとっては据え膳下げ膳でお姫様になった気分は最高だそうである。男性はそのよさには鈍感であるようだが・・・。 今年は21名の参加で、少しでも多く参加できるように、という主旨は叶えられたようである。 山に登り、温泉に浸かり、昼食会をして夕方までに戻るとなれば、諫早から1時間半で行ける雲仙がよい。 2ヶ月前、予定を立て旅館と交渉をはじめた。いまは旅館・ホテルはお客争奪に過当競争の時代である。諫早まで送迎バスを無料で出し、登山口まで送り、また下山時刻には登山口まで迎えに来てくれるサービスは利用者にはありがたい。 ここ1週間ばかり天気が愚図つき一日おきに雨模様。その合間を縫って雨に遇わずに助かった。とはいってもどんよりとした曇り空、標高700mを超す雲仙は寒い。 高岩山の登山口、宝原のツツジ園に到着したのは10時。山頂までの往復時間を1時間半と計算して、送迎バスは11時半に迎えに来てもらう約束で出発した。
一年前に来たとき山頂付近はまだ狭い薮道だったが、山頂まで木を横にした階段が出来上がり歩きやすかった。が何となく山に登る者にとっては嬉しくはない。 山頂には新しい鳥居ができていた。高岩神社の鳥居である。柱には今年11月の建立となっているから完成したばかりである。山頂から眺める雲仙・普賢岳は雪こそ被っていないが寒そうにそびえていた。
約束の11時半に下山できるようにひと息ついて引き返した。送迎バスは待っていた。 次のお楽しみは温泉。少しでも入浴の時間が長くなるように11時半前にバスに乗り込んだ。ここから旅館までは10分足らずで到着できる距離にある。 きょうは女性19名に対し男性は二人だけ。殿方用の風呂は誰もいなかった。二人の貸切である。昼前から温泉に浸るなんて贅沢だ。いつも山に登ったあと、温泉に入るときはわずかな時間でカラスの行水だが今日は時間はたっぷりとある。長湯の私にとっては最高である。 温泉街は700mの高いところにあるから気温は4〜5度に冷えているだろう。ガラス戸を開け露天風呂に出ると全身が冷たい空気にさらされ、たるんだ皮膚がキューと縮んだ。 首まで浸かりのんびりと冬の空を眺める。いつも寒々と感じる冬の雲だが風呂に浸かって眺める雲は、冷たさが伝わってこない。時折頬をなでて過ぎ去る冷風で冷たくなった顔を両手でお湯をすくい顔にかける。
時間を気にすることなく、充分に浸かった。一緒に入っていた人はすでに上がって姿はない。40分は経っているであろうか。喉の渇きを感じる。 このあと始まる会食には、生ビールを一杯ずつ予約している。それを楽しみに渇きを我慢しておくか。 定刻1時に会食の始まり。風邪で急きょ参加取り消しになった、ひまわり山行部長の代役で挨拶をする。 乾杯のビールの一口は、渇いた喉を刺激しながら通過した。会食のあとカラオケで楽しく過ごした。
(注)オレンジハイキングクラブには、山行部とひまわり山行部があり、ひまわり山行部は現役を引退した閑人が金曜日にのんびりとハイキングをしょうと設けられたもので、「暇あり」を「ひまわり」とひねった名称である。 |