すすきの草原は平坦で下から見上げた姿からは想像もできない広さであった。散歩気分も4〜5分で消え、チーフ・リーダーが一番心配している急な降り坂にさしかかった。

男三瓶山から坂を降りつき子三瓶山の登りに変わる鞍部まで1時間かかった。ザックをおろし行動食を食べる。全員怪我もなくここまで来たのでひと安心だ。これ以上の危険な場所はもうない。

子三瓶山までの登りは樹林はなく、振り返ると男三瓶山のどっしりした姿が身近にそびえていた。子三瓶山までは20分で到着。

 お椀を伏せたような丸い形の山頂は、ここもすすきの草原になっていた。いつの間にか風は止んでいる。山頂の案内板で記念撮影をして100mほど引き帰し、孫三瓶山に向った。

男三瓶山山頂
男三瓶山からの急坂を降り始める。
扇谷コースの出会いまで1時間かかって降り、子三瓶山まではここからまた20分間の登りになる。
一面がすすきで覆われた子三瓶山山頂。

孫三瓶山には一旦下ってまた同じ高さまで登らなければならない。標高差70mぐらいを昇り降りすることになる。

10時を過ぎていた。このころから登山者と行き交うようになった。孫三瓶山に辿り着くまでに20人ばかりの人に出会った。この区間は樹林がなく、これまで縦走してきた山が近くに見えて、歩いた軌跡をはっきりと確認できる。

孫三瓶山に着いたのは10時50分、ちょうど4時間歩いている。ここで昼食にした。朝の弁当と昼の弁当は「かんぽの宿」で作ってもらったものではなく、近くの弁当屋さんがその朝に作り運んできてくれたものだった。

6時前に運んできた弁当屋の主人は、食中毒を心配して,「幕の内は朝に、おにぎりは昼に食べてください。幕の内は昼までは保証できません」何回も念を押した。

おにぎり4個に、たくあんと梅干1個の簡単な昼の弁当は見た目にはどこでも見かけるおにぎりと変わらなかった。

1個とって口に入れると、なんとこれがうまい。適当に柔らかくて粘り気がありかんでいると甘味が出てきた。たぶん今年の新米ではないかと思いながら食べた。食べ始めには4個は多すぎると思ったが4個とも食べてしまった。

ここでゆっくり休むわけにはいかない。下山してから温泉に入り,また9時間かけてのバスの旅が控えているからである。

大平山を越え、東ノ原登山口まであと1時間かかる。先を急いだ。ここからはなだらかな樹林帯の中を歩けば太平山に辿り着く。

昼食後の身体は体が重く、体調がスタート前と変わらない状態に戻っている。

歩き始めて10分ぐらいは注意しないと歩き易い道でも捻挫、骨折などを起こしやすい。そのことを全員に声かけながら出発した。

東ノ原登山口に着いたのは12時30分。予定のコースタイムのとおり戻ってきた。リュックを降ろし,靴を履き替えるころ雨が降り出した。

あとは温泉に浸かり、バスの中で一杯やりながら我が家に戻るばかりである。

こうして三瓶山の縦走を全員無事に達成することができた。


孫三瓶山に登る途中、振り返って見れば子三瓶山はお椀を伏せたような丸い形をしていた。
孫三瓶山山頂。
左の山は三瓶の盟主・男三瓶山。
おにぎり弁当。
三瓶のお米は美味しく、4個とも食べてしまった。
太平山山頂
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