眉山(島原市)別名七面山818.7m)  

H12.1.28    快晴  参加者14

 

島鉄・辰元口バス停下車1017分。

時折大型ダンプが行き交う舗装道路を登ってゆく。行く手正面に冠雪した平成新山が朝日に映えて目に跳ね返ってくる。深さ700mまで掘削して普賢岳の噴火の歴史を調べているというボーリングタワーを右手に見て登るころには身体が汗ばんできた。登山口まではまだだいぶ登らなければならない。衣服調整の休憩をとり、着込んでいた上着を脱ぐ。

噴火災害後に整備された新しい道路は山裾に沿って曲がりくねっている。南側に面した道は朝日が照りつけ雪は消えている。北側に面した道は一日中陽が射すことがないらしく数日前に降った雪がまだ残っている。雪には猪の足跡だろうか犬の足跡よりだいぶ大きな形が残っている。その足跡をなぞるようにして登っていく。

1138分登山口に到着。バスを降りてから1時間20分舗装道路を歩いたことになる。舗装道路は歩き易いようで足にこたえ疲れるようだ。

登り口にある七面大明神の鳥居の両柱は人の背丈ぐらいのところで折れていた。平成3年の噴火の仕業だろうか。
 登りながら見上げてきた眉山は、濃緑の黒ずんだ山に見えたが潅木の中に入ると地面には雪が残っていた。登山の路は一際白さが目立ち積雪が案内をしてくれる。

南に面した山腹では木の葉の雪が陽に解け大粒の水滴となり落ちてくる。路は中腹から急峻な坂になった。雪解け水で濡れた粘土の地肌は滑りやすい。何箇所も木に結んだザイルが取り付けてあり、それに掴まり登って行く。登りは何とかなるが帰りは大変なことになるぞ、と心配しながらザイルに掴まる。

登山口で見た案内板には、山頂まで45分とあったが滑りながらの足運びでは山頂まで1時間10分かかった。

今日は雲一つない快晴だ。たぶん麓の街は小春日和のようなぽかぽか陽気であろう。ここ山頂は北風が吹き、木の葉に積もった雪を巻き上げダイヤモンドダストの現象が見られる。その美しい眺めを楽しみながらの昼食であった。

昼食後、展望が利く東側の神社境内に向かう。眼下には島原市街があり、有明海の向こうには熊本の山々が見える。海は静かで、のんびりと白い航跡を残して進むフェリーはここからは玩具のようだ。ここまでは街の喧騒は聞こえてこない。静まりかえった世界である。 

いつも島原の街から真上に見上げていた眉山。逆に眉山頂上から見下ろすと島原の街は真下にあり足がすくんでくる。818mの眉山はここから見下ろすとそれ以上の高さを感じる。それは海抜0mの有明海が真下にあるから正真正銘の800mの高度差だからであろうか。

冠雪の平成新山をバックに全員で記念写真を撮る。14時に下山、登山口に1442分に辿り着いた。

帰りは登りとは反対の南のほうに降りていく。深江町の上木場地区は火砕流で大きな被害を受けた。いまだに災害復旧工事が続けられており、ハイテクによる無人の建設機械が土砂を掬ったり、土を運んだりしている。

下山する道路は工事中であったがお願いして横を通らせてもらう。作業員の人が女性にだけだといってみかんをくれた。男性は女性からおすそ分けをもたった。

なだらかな県道を降りること2時間。やっとの思いで島原鉄道の案徳駅に辿り着く寸前で電車は通り過ぎてしまった。タクシーで南島原駅に滑り込み、やっとの思いで諫早行きの電車の乗り込んだ。

諫早駅に着いたときは1820分、冬の日はとっぷりと沈んでネオンが輝いていた。

疲れはあったが久しぶりに雪を踏んだ感触が、忘れていた心の新鮮さを呼び戻してくれたようで得した一日であった。
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