今回は、E−メールによるやり取りから、山歩きの状況がつかめるのではないかと思い、変わった形の山行記録として残すことにしました。なお、HP掲載の承諾は返信者K・Gさんからいただいています。
鳴き声の主
経ヶ岳(佐賀・長崎県境)山行(H13.7.17)
(送信)
はじめまして、諫早に住んでいますR.Tと申します。
「しぜんのいえのはかせ」さんのことはHP「マイタウンいさはや」の掲示板で存じあげた次第です。
わたしはこの掲示板には、ときどきハンドルネーム「ばってん亀」でお邪魔しています。
一面識もない方にぶしつけな質問で恐縮ですが、「しぜんのいえのはかせ」さんという肩書きを頼りにいたしましてお尋ねいたします。
今月17日、多良岳山系の経ヶ岳に登りました。その日は快晴で山頂は強い日差しでした。午前11時ごろでしたが経ヶ岳山頂近くになると、樹林のなかでセミの鳴き声か、蛙の鳴き声か、よくわかりませんが、相当の数で騒々しい鳴き声が響きあっていました。
マツセミの声とも違う、ヒグラシとも違う、カジカ蛙とも違う、私の乏しい知識を総動員して鳴き声の主はいったい誰だろうと考えましたがわかりません。
マツセミのギーギーという規則正しいリズムはなく、思い思いのリズムで澄み切った高い声でもない、どちらかといえばガラガラ声で疲れた感じのする鳴き声でした。
蛙の声にしては声が割れた感じで、かすれたような音で、とても蛙とは思えませんでした。
家に帰って、長崎県生物学会(平成元年3月31日発行)の「ふるさとの自然観察ガイド」、諫早・多良岳周辺編を調べてみました。
そのなかに、経ヶ岳付近にはミンミンセミとエゾハルセミが生息しているとありました。あの鳴き声からしてミンミンセミではなかったようですから、ではエゾハルセミだったのだろうかと思っているところです。
ハルセミは別名マツセミというそうですが、ではこの季節に松林などで規則正しく鳴いているマツセミとエゾハルセミは鳴き方が違うのでしょうか。
山頂は木陰がないので少し下に降りて樹林の中で昼食にしました。腰をおろした場所の頭上からは、主不明の鳴き声が降り注ぐように聞こえます。
快晴の天気で木漏れ日がきらきらと差し込んでいるのに、時々水(?)のような飛沫が上から落ちてきて、顔や腕にかかります。たぶん開いている弁当の上にもかかっていたと思います。
このとき思い出したのが、子供のころセミ捕りに行って、逃げられた瞬間小便を引っ掛けられた悔しさです。
でもいま落ちてきた飛沫がセミの小便だとは決め付けられません。樹上で暮らすアマガエルやモリアオガエルの仲間もいるからです。この蛙たちも飛ぶ瞬間に小便をします。
こんなことを考えれば考えるほど分からなくなってしまいました。
私のこの程度の貧しい情景表現だけでは判断できかねるとは思いますが、もしご存知でしたら「鳴き声の主」を教えていて頂けないないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
突然に不躾なメールをお出ししたことをお詫びいたします。
R.T
(返信)
はじめまして。職場にきてメールを開いたら… びっくりしました。
さて、ご質問の件ですが、3年前、「自然の家」で自然の家・五家原岳付近を調査したものがありましたので調べてみました。
その中から該当すると思われるものは、「エゾハルゼミ」です。その他、「ハルゼミ」などがいるんですが、条件を照らし合わせてみると「エゾハルゼミ」で正解でしょう。
「エゾハルゼミ」を検索したら、約400件HITしました。これも驚きです。
最近、自然の家の周りで「ツクツクボウシ」の声が聞こえます。時期を間違えているのでしょう。鳴き方もまだまだヘタで練習しているみたいです。
ついでといっては何ですが、私のことも・・・・。
「しぜんのいえのはかせ」の名前は、子どもたち相手に「おもしろ科学実験」の講師などをしているからです。ローソンなどで子どもたちから不意に「はかせ!」と呼ばれるようになりました。
しかし、その実体は中学校理科の教員です。最近は子どもたちだけでなく、学校の先生対象の実験教室もやっています。
また何かありましたら、連絡をください。こんな形で交流がもてるなんてなんかいいですよね。
K.G
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